■読売新聞記事■

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記事内容

芦屋水路波立つ

「ウェイクボード」新スポット
 「我が物顔」互いに批判
カヌー練習場30年の歴史


カヌー(手前)のそばでは、ウェイクボードが水しぶきを上げる(芦屋市浜風町で)

兵庫県芦屋市南部の埋め立て地に挟まれた海域「芦屋水路」が、モーターボートに引かれながらボードに乗って宙返り等の技を競うマリンスポーツ「ウェイクボード」の人気スポットになり、五月三日からは全国大会が、七月末にはアジア大会が開催される。一方で水路はカヌーの練習場として約三十年の歴史があり、両競技の愛好者からは「水上を我が物顔に走行している」と互いの批判が噴出しており、静かな海が波立ってきた。

芦屋水路は長さ1500m、幅150m。南北の埋め立て地が外海の波や風を防ぐため、カヌー愛好者が集まり、五輪代表選手も輩出。最近では関西学院大学(西宮市)や武庫川女子大学(同)など五大学のカヌー部員が連日のように練習を積んでおり、2006年の兵庫国体でカヌー会場になることも決まった。
一方、「海のスノーボード」とも呼ばれるウェイクボードは、水上を30km前後で進むモーターボートの波を利用して技を繰り出すスポーツ。若者を中心に人気を呼び、国内の競技人口は40万人以上という。
約10年前から関西のウェイクボーダーたちも芦屋水路で楽しむようになり、水路を独占してきたカヌーと同じ海域に。今では休日になると計20隻以上が航行するため、練習スペースを巡ってせめぎ合い、衝突事故も起きたという。
県カヌー協会によると、モーターボートの波はカヌーには「大敵」。二宮順子理事長は、「競技会でカヌーを追いかけるように走り、観客に技をアピールする心ないボーダーもいた」と批判。一方、日本ウェイクボード協会の諏訪禎男顧問は「ウェイクボードが近くにいるのに、カヌーは横一列に並んでこぐ。エンジンを持つほうが遠慮すべきだと勘違いしているようなカヌーもある」と反論する。
海域はだれも自由に利用できるが、水路を管理する県尼崎港管理事務所は「両者が気持ちよく利用できるよう、それぞれがマナーをまもってほしい」と譲り合いを求めている。

2004年4月30日読売新聞